従業員の入社時は、雇用契約書の作成や社会保険の手続きなどタスクが多岐に渡り、その量は企業や業種、採用人数によって異なります。人事関連の手続きは煩雑になりがちで「手続きの遅れ」「タスク漏れ」といったトラブルが起こる可能性も。人事のタスクは量と突発的な対応により、多くの時間と労力が必要になります。本記事では人事担当者向けに、従業員の入社時期に発生する業務をスムーズにおこなう方法を具体的に解説します。オンボーディングで高まる「入社タスク管理」の重要性オンボーディングとは、新しく入社する従業員がいち早く活躍できるよう促進する取り組みを指します。せっかく人材を確保したのに「早期離職してしまった」「人手不足で教育に割く時間がない」といった問題を抱えている企業は多い印象があります。そのような企業がオンボーディングを取り入れ、新しい人材に長く会社に定着してもらい、できるだけ早い段階で戦力になってもらうことを目的としています。オンボーディングを取り入れるメリットとして、下記のような点が挙げられます。従業員の満足度向上新入社員の離職率低下仕事内容や職場環境に対する不安軽減新入社員育成のためのコスト削減即戦力になることでの生産性向上入社タスク管理がスムーズに進めば、新入社員は安心して業務に従事でき、企業側も滞りなくオンボーディングを進められます。オンボーディングの目的や重要性については関連記事「人事必見!オンボーディングプロセスを効率化する方法」で解説しています。併せてご覧ください。入社タスク管理が難しくなる4つの原因従業員が入社する際、人事担当者は各種書類の作成や関連部署とのやり取りなどに追われます。その結果、業務が煩雑になり手続きが遅延するトラブルが起こることも。入社タスク管理が難しくなる4つの原因をそれぞれ解説します。(1)タスクの可視化不足担当者や期限が不明確で進捗状況が把握しづらいと、どこで作業が止まっているか分かりにくく、タスク管理が難しくなってしまいます。各タスクの連動情報や優先順位が記載されていないと、手続き遅延の原因になるでしょう。担当者が自分でタスクを洗い出す必要があったり、進捗を確認し記録、共有するツールが導入されていなかったりすると、部署間の連携ミスが発生しやすくなります。(2)業務の属人化マニュアルやチェックリストがなく、担当者によって対応が異なるとタスク管理は複雑化してしまいます。属人化された業務は担当者が変わるとスムーズに引き継がれず、効率が悪くなり、後任者の負担が大きくなりやすいからです。また、担当者が不在の際にタスクが滞ってしまい、社内外に影響をおよぼしてしまうこともあります。(3)アナログな運用入社時の手続きの際、多くの書類が発生するため、適切な管理・保管が求められます。個人情報を含む書類は施錠可能なキャビネットに保管するなど、慎重な取り扱いをしなければなりません。そのほか、紙の資料は紛失したり破損するリスクがあり、データの保存・管理が難しいといったデメリットも挙げられます。(4)雇用形態の多様化正社員、契約社員、派遣社員など、雇用形態によって書類作成や入社時の対応が異なるため、それぞれに対応するタスク管理が複雑化しやすいです。契約社員や派遣社員は、正社員と入社時に必要なタスクが異なります。また契約期間の管理が必要で、入社後も契約更新のタスクが発生します。雇用形態の違いから、オンボーディング内容に違いが生じることもありますが、雇用形態の違いによるミスコミュニケーションが発生しないような配慮が必要です。入社タスク管理に対する各部署のホンネ入社時には、多岐に渡るタスクが発生するため各部署の連携が取れていないと混乱し、人為的ミスを招いてしまいます。本章では、入社タスク管理に対する各部署の胸の内を紹介します。(1)人事部:全体把握はしてるけど… 細かい調整までは手が回らない「各部署がスムーズに連携できる仕組みがあれば、もっと効率的に業務を進められるのに…」と感じている人事担当者もいるのではないでしょうか。こちらは、人事担当者の心の声です。「書類作成、入社手続き、研修の準備。それに加えて、新卒だけでなく中途採用の社員も増えてきて業務量が多すぎる」「新入社員ラッシュの時期は、人事部だけでは対応しきれない」「マニュアルはあっても最新の情報に更新されていなかったり、せっかく作っても誰も見てくれない」人事担当者は、入社に関するあらゆるタスクの進捗を把握し、各部署との調整をおこなう役割を担っています。しかし、タスク量は膨大で細かな調整業務に追われ、本来やるべきことに集中できないというケースも少なくないのです。(2)情報システム部:いつもギリギリで頼まないで…情報システム担当は、アカウント発行やPC設定など、入社前に済ませておくべき重要なタスクを担っています。以下は、情報システム担当のホンネです。「マニュアルを読まずに質問してくる人が多い」「パスワードを忘れた、メールが送れないなど、同じようなトラブル対応を受けるのは大変」「人事部から必要な情報の共有漏れが多く、準備が間に合わない」情報共有と連携不足によって作業が滞ってしまうことにフラストレーションを感じている担当者もいるかもしれません。(3)配属先の担当:準備不足で放置されている… 配属先の上司や先輩は、新入社員へ業務に必要な知識やスキルを教える必要があります。しかし、本来の業務に加えて、新入社員の指導に時間を割くのは大きな負担となる場合もあるでしょう。準備不足で困惑する担当者は多いはずです。「新入社員の教育プログラムが整備されておらず、OJTで教えないといけないため自分の業務に集中できない」「新しい人材が入ってくるのはよいが、チームの雰囲気作りや仕事の進め方をどうすればよいか戸惑う」新入社員が入社し、自立するまでの間のオンボーディングが整っていない状況では、教育やフォローに追加のタスクが発生しています。通常の業務に加え新人のOJTなどを担当する従業員は、その時点で負担を感じているものです。担当に任せっきりにしないためにオンボーディングを導入し、仕組み化するとよいでしょう。(4)入社する本人:何をしたらいいか分からない… 入社を迎える本人にとって、新しい環境への期待と同時に、多くの不安を抱えているのは当然でしょう。以下は、新入社員が入社前に抱えている思いです。「入社前にどんな準備をすればいいのか」「どんな業務を担当するのか明確でない」「会社の文化や雰囲気、人間関係がどのようなものか、事前に把握できないため馴染めるか不安」入社前から不安を感じると、入社後のモチベーションが低下して仕事に対する意欲が薄れてしまいます。その結果、入社後のギャップに耐えられず早期離職につながる事態になりかねません。情報不足は不安を増幅させてしまいます。企業側から積極的に情報提供をおこない、新入社員の不安を解消し、安心して入社日を迎えられるよう心がけましょう。入社タスク管理を効率化する3つのステップ入社タスクを効率化していくには以下の3つが重要です。可視化-全体の流れと担当を明確にする標準化-誰もが迷わず対応できる仕組みを作るシステム化-ツールを活用して仕組みを作る3ステップで解説するので、タスク管理が非効率的だと感じている担当者は参考にしてください。STEP1:可視化 - 全体の流れと担当を明確にする各担当者の役割を明確にすると、責任範囲がはっきりして業務分担がスムーズになります。Aさんは雇用契約書の作成、Bさんは社会保険の手続き、CさんはツールなどのID発行といったようにタスクを分担して無駄な作業をなくし、効率的な手続きを目指します。ほかにも、具体的な方法は以下の通りです。入社手続きから配属までの一連の流れをフローチャートに示すよくある質問集を作成し、問い合わせ対応を効率化する各タスクの担当者を明確にして一覧表を作るマニュアルを作成し、属人的な業務を減らす部署内で仕事の流れを共有するとコミュニケーションが円滑になり、チームワークも向上します。「入社時のタスク漏れをゼロにしたい」「雇用形態別の入社手続きのタスクを確認したい」といった担当者は、入社手続きチェックリストをぜひご活用ください。【会社側】今からすぐ活用できる入社手続きチェックリストSTEP2:標準化 - 誰もが迷わず対応できる仕組みを作る誰もがいつでも、同じように作業できるようにマニュアルを最適な内容にしましょう。特定の担当者に業務が集中することを防いで、誰もが迷わず対応できる仕組みを作ると、業務手順のブレがなくなり人為的なミスを減らせます。仕組み作りは以下を参考にしてください。情報共有プラットフォームを導入し、関係者間でのスムーズな伝達をおこなうタスク管理ツールを導入し、進捗やリマインダー機能を活用する各種書類のテンプレートを作成して統一するRPAなどを活用し、定型業務を自動化する業務の標準化は属人化の解消、結果として会社の生産性・作業効率がアップします。STEP3:システム化 - ツールを活用して自動化する入社手続きが完了しても、従業員のタスク管理は必要です。今まで手作業でおこなっていた作業を自動化すると、大幅な時間短縮が可能になります。ツールを活用すると正確性がアップし、人為的なミスを減らせるでしょう。例えば、以下のメリットが挙げられます。タスクの対応漏れ進捗状況を可視化情報共有の円滑化コミュニケーションコストの削減新たなタスクが発生しても部署内でいち早く共有でき、一目で確認できるため、伝達ミスの防止につながります。入社後も続く従業員ライフサイクルとタスク管理人事担当者は、従業員ライフサイクルの各ステージにおいて重要な役割をはたします。入社時だけではなく、異動や産休・育休など、従業員が働く上で発生するライフサイクルの手続きは少なくないからです。従業員ライフサイクルは、従業員が企業と関わるすべてのステージを一つの流れと捉えます。デバイス管理、要望管理、データ管理など、入社以降のタスクは部署を跨いで多岐に渡ります。業務内で起こるタスク漏れによる遅延、他部署との連携ミス、属人化を防ぎ、スムーズなタスク管理をおこないましょう。従業員ライフサイクルの重要性とメリットについては関連記事「従業員ライフサイクルとは?入社から退職までのステージと最適化の方法」で詳しく解説しているので併せてご覧ください。従業員ライフサイクルで発生する手続きをmfloowがトータルサポート企業では採用・労務・総務・情シスなど、担当者がいますが、部署ごとにタスクや複数のデータを管理していると情報がブラックボックス化するケースも。従業員ライフサイクルのタスク管理が適切な手順でない場合、以下のような問題が生じる可能性があります。情報共有の不足によるミスや遅延コンプライアンス違反のリスク担当者の業務負担の増加従業員満足度の低下「mfloow(エムフロー)」は、入社から退職まで、従業員ライフサイクルに関する手続きを一元管理できるクラウドツールです。タイミングが重なりがちな入社手続きでは、自社独自のフローテンプレートを設定し、入社ラッシュ時にも落ち着いて対応することが可能です。業務の可視化・自動化を実現し、タスク管理に伴うストレスからの解放を目指しています。サービスサイト:mfloowまとめ入社手続きが煩雑になると部署間の連携が取れずミスが起きやすくなるだけでなく、新入社員も不安を抱え、早期離職につながる可能性があります。入社時から産休・育休、異動など、退職までのライフサイクルごとに担当者のタスクは多岐に渡るため、業務を明確にしておくことが大切です。タスク管理の重要性を理解して、業務の遅延や伝達漏れ、人為的ミスをゼロにして組織の成長を進めましょう。